2016年12月31日土曜日

Kamyu Kamyu's Albums Of The Year 2016 25→1


25位 Brian Fallon "Painkillers"

Recommended Songs:
"Painkillers"
"Nobody Wins"
"Honey Magnolia"
















24位 BJ The Chicago Kid "In My Mind"

Recommended Songs:
"Church"
"Shine"
"The New Cupid"
"Woman's World"















23位 Grimes "Art Angels"

Recommended Songs:
"Flesh without Blood"
"Kill V, Maim"
"Realiti"
"Venus Fly"















22位 Dvsn "Sept. 5th"

Recommended Songs:
"Too Deep"
"Try / Effortless"
"Sept. 5th"
"Hallucinations"















21位 Nick Jonas "Last Year Was Complicated"

Recommended Songs:
"Close"
"Touch"
"Bacon"
"Unhinged"














20位 Baauer "Aa"

Recommended Songs:
"GoGo!"
"Day Ones"
"Temple"
"Kung Fu"
















19位 How To Dress Well "Care"

Recommended Songs:
"Can't You Tell"
"Lost Youth/Lost You"
"The Ruins"
"Untitled"















18位 Glass Animals "How To Be A Human Being"

Recommended Songs:
"Life Itself"
"Youth"
"Pork Soda"
"Mama's Gun"














17位 Radiohead "A Moon Shaped Pool"

Rcommended Songs:
"Burn the Witch"
"Daydreaming"
"Glass Eyes"
"True Love Waits"
















16位 Shura "Nothing's Real"

Recommended Songs:
"What's It Gonna Be?"
"Kidz 'n' Stuff"
"2Shy"
"White Light"















15位 Bastille "Wild World"

Recommended Songs:
"Good Grief"
"The Currents"
"Send Them Off!"
"Lethargy"















14位 Jeremih "Late Nights: The Album"

Recommended Songs:
"Planes"
"Oui"
"Drank"
"Don't Tell Me"















13位 Chairlift "Moth"

Recommended Songs:
"Romeo"
"Ch-Ching"
"Crying in Public"
"Moth to the Flame"















12位 Drake "Views"

Recommended Songs:
"Redemption"
"Controlla"
"One Dance"
"Too Good"
















11位 Lady Gaga "Joanne"

Recommended Songs:
"A-Yo"
"Perfect Illusion"
"Come To Mama"
"Hey Girl"

















10位 Savages "Adore Life"

Recommended Songs:
"The Answer"
"Evil"
"Adore"
"T.I.W.Y.G."

(何か書こうと思ったけど、ネタ切れでコメントが思いつかなかった)




9位 Blood Orange "Freetown Sound"

Recommended Songs:
"Augustine"
"Best To You"
"E.V.P."
"Dsiree"
"Better Than Me"

珠玉のメロディーの数々。ところどころ70年代のStevie Wonderっぽくなるところも狙ってやってそうで楽しいし、Carly Rae Jepsen、Nelly Furtado、Empress Of、そしてBlondieのDebbie Harry(!)をゲストボーカルに招くという絶妙なチョイスもすごい。





8位 Rihanna "ANTI"

Recommended Songs:
"Kiss It Better"
"Work"
"Needed Me"
"Yeah, I Said It"
"Love on the Brain"

リアーナが「アルバム・アーティスト」として本格的に認められるようになったという意味でも、リアーナのキャリアにおいて重要な1作になるのは間違いないだろう。これまで以上にクールであり、ソウルフルであり、エッジが効いていて退廃的である今の彼女は、ポップ・スターとして誰にも真似できない領域まで到達してしまっている。




7位 James Blake "The Colour In Anything"

Recommended Songs:
"Radio Silence"
"Timeless"
"f.o.r.e.v.e.r."
"My Willing Heart"
"I Need A Forest Fire"

17曲入りの超大作(前作やデビュー作の約2倍の収録時間)であり、"Limit To Your Love"や"Retrograde"に相応するキラートラックに欠けるため、地味な印象は拭えないが、Rick RubinやFrank Ocean、Bon Iverという最小限に抑えた外部のソングライターのみと共同作業を行い完成したこの作品は、いまだかつてないほどソウルフルで引き込まれるものとなっている。Kanye WestやChance The Rapper、Vince Staplesからもラブコールを受けてきた彼らしく、HIP-HOP的なビート感覚を発揮している曲もあったりと、エレクトロ・ミュージックとしてもより多彩な仕上がりになっている。




6位 Bon Iver "22, A Million"

Recommended Songs:
"22 (Over Soon)"
"715 (Creeks)"
"33 "God""
"#29 Strafford Apts"
"666 (Upsidedowncross)"

わかりにくくなったようで、実はかなりわかりやすくもなった気がするこのBon Iverの新作。だって、こういうスケールの大きなエレクトロ・ミュージックの醍醐味はすでにKanye Westの"Yeezus"で経験済みだし、美しいメロディーやハーモニーの世界観はBon Iver自身の前作から踏襲されているから。だからこそ聞き込めば聞き込むほど不思議な安心感に包まれる気がするのだ。




5位 YG "Still Brazy"

Recommended Songs:
"Who Shot Me?"
"Twist My Fingaz"
"Gimmie Got Shot"
"Why You Always Hatin?"
"FDT"

YGはウェスト・コーストのギャングスタ・ラップ・スタイルを踏襲して成功しているラッパーとして、全体的にスマートな近年のHIP-HOP界においては異色の存在とも言える。
しかし、DJ Mustardとダッグを組んだ前作でも顕著だったわかりやすいキャッチーなノリはプロデューサーを一新した今作でも健在であり、むしろネットリしたファンク風ビートとの相性はさらに抜群である。
アルバムリリース延期の原因ともなった昨年の銃撃事件について触れた"Who Shot Me?"や、反ドナルド・トランプ・ソング"FDT"、名声について歌う"Why You Always Hatin?"など、リリックのテーマも単純明快で、個人的に愛すべきHIP-HOPレコードといった感じ。




4位 A Tribe Called Quest "We Got It From Here…Thank You 4 Your Service"

Recommended Songs:
"We the People..."
"Solid Wall of Sound"
"Dis Generation"
"Mobius"
"Movin Bakwards"

リリース時期を含めて、政治的・社会的に重要なメッセージを投げかけているってだけで、かなりインパクトがあったが、一方で音楽的にも語るべきことが多い作品でもあるだろう。
ブラック・サバスをサンプリングしているリードシングル曲はもちろん、なんといってもElton Johnの"Bennie and the Jets"をサンプリングした"Solid Wall of Sound"の大胆なネタ使いと、あのメロウな空気感を見事なまでにクールなHIP-HOPに落とし込んでおり、圧倒される。客演にもAnderson .PaakやMarsha Ambrosisなど、昨年のDr. Dreの作品にも貢献したR&Bシンガー勢を起用していたりと、正直Dr. Dre以上の先鋭的な時代感覚で、まったく飽きさせないアルバムを完成させている。




3位 NAO "For All We Know"

Recommended Songs:
"Get to Know Ya"
"Inhale Exhale"
"Trophy"
"Bad Blood"
"Girlfriend"

昨年リリースされたEPが批評家筋から絶賛され注目されたロンドン出身の女性シンガーのデビュー・アルバムは、昨今のUKインディーR&Bの流れを引き継ぎつつも、1990年代のR&Bやダンスミュージック、ジャズ、ネオソウルといったものに根差した作品となっている。
FKA twigsやKalelaなどに比べると、実験的要素が薄く、「歌」により焦点がおかれてる気がするのは、アメリカのソウル・シンガーにも引けを取らない彼女の唯一無事の歌声にあるだろう。本格的なデビュー前からDisclosureやMura Masaといった今をときめくDJが彼女をゲストボーカルに積極的に迎えていたのも納得である。
近年の、ダンス・ミュージックやインディー・ロックとの融合が顕著になりすぎているR&Bシーンにおいて、彼女はSadeやErykah Badu、Lauryn Hillといったネオソウルの感覚を吸収し、FantasiaやJill Scottなど本格派ソウル・シンガーのボーカル・スタイルをうまく取り入れつつも、しっかりと現代の潮流に合わせたものを完成させた。地味ながらも今後の彼女の活躍にとって重要なデビュー作として語り継がれていくのは間違いないだろう。




2位 Solange "A Seat At The Table"

Recommended Songs:
"Rise"
"Cranes In The Sky"
"Mad"
"Don't Touch My Hair"
"F.U.B.U."
"Junie"

8年ぶりの新作となる今作で、彼女は初の全米アルバム・チャート1位を成し遂げた。4年前のEPがリリースされた時点で、彼女の注目度は確実に上がっていたという実感はあったが、それがついに大衆において日の目を見た瞬間である。
これまでのインディーロックな才覚を持ったR&Bというスタンスは今作でも引き継がれており、インディー系の注目株が今作にも多数参加している。Majical Cloudz、David Longstreth(Dirty Projectors)、Dave Sitek、Patrick Wimberly(Chairlift)、Rostam Batmanglij(元Vampire Weekend)といった多彩なメンツが集まってるだけでも彼女に対する期待値の高さが伺えるだろう。
一方で今作の半分近くを手掛けるRaphael Saadiqの存在が今作を象徴する重要な肝となっている。近年のアンビエントなR&Bの潮流を程よく取り入れつつも、ネオソウル色の強いオーガニックで温かみのあるサウンドとなっており、荘厳な世界観は確実に彼の手腕によるものだろう。
美しいファルセットを筆頭に様々なボーカルスタイルを提示しながらも、自己主張は控えめで繊細で、それでいて崇高で丸みを帯びて円熟したボーカルも聞き惚れずにはいられない。
ここ最近の重要な主張というかトレンドというか、黒人としてのアイデンティティーも前面に押し出しているのだが、それはシングル曲のテーマやミュージックビデオでもすでに垣間見れる瞬間であった。しかし、彼女の表現方法は詩的な上に繊細であり、それでいて芯がしっかりしていて奥深いのだ。




1位 Beyonce "Lemonade"



Recommended Songs:"Pray You Catch Me", ""Hold Up", ""Don't Hurt Yourself", "Sorry", "Daddy Lessons", "Freedom", "All Night", "Formation"

結果的に、ビヨンセ史上最も挑戦的な作品になったと言えるだろう。今作の大きなインスピレーションとなっているのは、「結婚」である。序盤から、浮気した夫への怒りが爆発する楽曲が並んでいる。10年前のビヨンセ、つまり"B'Day"の頃のビヨンセであったら、浮気男なんてかなぐり捨ててしまっていたかもしれないし、音楽的にも「攻撃的」一辺倒な作品になっていたかもしれない。当時のビヨンセは、その「押しの強さ」こそが魅力でもあったのだが。
今のビヨンセは、最終的に夫を許し、新たに前に進んでいこうとする。さらに、その経験からフェミニストとして、黒人としての彼女のアイデンティティーをより突き詰めていくことになるのだ。それが今作『レモネード』の大きなストーリーである。ここまでパーソナルな表現に磨きをかけているのは、普段ゴシップを賑わせることをあまり好まないビヨンセらしい戦略とも言えるかもしれない。

音楽的にも今作は前作以上にスリリングなものになっている。全体的にアンビエントなインディーR&Bがメインストリームに接近しつつある中、そういった空気感をいち早くメインストリームのスターであるビヨンセが取り入れたというのが前作の画期的な点だった。今作では、さらにロックへの急接近を図っており、インディー・ロック系のアーティストとのコラボを積極的に行っているだけでなく、Animal CollectiveやYeah Yeah Yeahs、Led Zeppelinといったアーティストの歴史に残る名曲を大胆にもサンプリングしてしまっているのだ。特にJack Whiteとの個性のぶつかり合いが爆発している"Don't Hurt Youself"が今作中最もスリリングな曲ともいえると思うが、一つ間違えれば「滅茶苦茶」になりそうなギリギリのラインで、音楽的にもクールに成立させてしまっているのが、今の彼女のすごさだろう。
今作はジャンル的にも、大胆なロック路線だけでなく、久しぶりにストリート志向の強い楽曲であったり、故郷ヒューストンに根差したカントリー・テイストの楽曲、さらによりブラックミュージック志向の強い楽曲であったりと非常に幅広い楽曲が収録されているのだが、それが違和感なく1つのアルバムとして成立してしまっている。

彼女は、「黒人女性」として大事なメッセージを大胆な音楽性で表現することに成功した。ビヨンセのような、政治的なスタンスを示す必要性はないであろうポップ・スターがここまで大胆な声明を発表しなければいけない、という時点で近年の社会・政治の混沌を表している気がしてやるせない気持ちにはなるが、実質上本編ラストの曲となる"All Night"で、全人類共通の大きな愛を歌うビヨンセは今までで一番自信に満ち溢れ、それでいて優しい。2016年は確実にビヨンセの年だった。





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