2016年12月20日火曜日

Kamyu Kamyu's Songs Of The Year 2016 30→11


30位 Miranda Lambert - Vice


<US最高位47位>
元夫Blake Sheltonの破局が今作に大きな影響を及ぼしているのは言うまでもない。最低男から受けた心の傷と向き合う彼女は、これまでのキャリアの中でも最もエモーショナルである。インディーロックよりロックらしい尖ったサウンドにも魅了されるし、"Gunpowder & Lead"の彼女はさらなる音楽的成長を遂げた。



29位 Radiohead - True Love Waits

往年のレディオヘッド・ファンではない私でも、この曲を「好き」という権利くらい持ち合わせていると信じている。美しい。


28位 Kevin Gates - 2 Phones


<US最高位17位>
ケヴィン・ゲイツほどのラッパーにもなれば、携帯は2台も血が当たり前。サグなラッパースタイルでありながら、彼の曲はメロディアスで中毒性が高く、耳にこびりついてなかなか離れない。


27位 Calvin Harris feat. Rihanna - This Is What You Came For


<US最高位3位、UK最高位2位>
名曲"We Found Love"を生み出したペアによる久しぶりのコラボである。カルヴィン・ハリスはいま最も稼ぐトップDJであり、その名に恥じない高品質な曲をリリースし続けているし、リアーナはその歌声で常に周囲の期待に答え続けている。怠慢ではない。堅実に進歩し続けているのだ。


26位 YG feat. Drake & Kamaiyah - Why You Always Hatin?


<US最高位62位>
成功を収める人は誰であっても、それ相応の努力をしている。そんな当たり前のことすら気が回らず、成功した人を憎み悪口を言うヘイター達はどの世界にもいるものだが、そんな負け犬たちに物言うラッパーYGは堂々と中指を突き立てる。いま最も成功しているラッパーのDrake、すでに大御所の佇まいを漂わせるKamiyahがさらにYGの援護射撃を行っている。


25位 Beyonce - Sorry


<US最高位11位、UK最高位33位>
ビヨンセは、今までもこれからも私たちの「悪びれないビッチ」であり続ける。だって彼女は何も悪くないから。彼女はどんな謝罪も受け入れたりなどしないし、バカな男に中指を突き立て、手を振り別れる。ストレートヘアーのベッキーに電話してみた方がいいらしい。



24位 Tinashe - Superlove



現在23歳の彼女にとって2000年代のR&Bポップは彼女の青春の1ページであり、そんな時代への彼女のリスペクトを感じる、現代のメインストリーム・インディー双方の潮流を考えても全くラジオ・アンフレンドリーな1曲である。彼女は誰にも何にも媚びを売ったりなどしてないのは明らかだ。


23位 Solange feat. Sampha - Don't Touch My Hair


<US最高位91位>
黒人女性としての自身のアイデンティティーを、クールに気高く、そして誌的でパーソナルに表現している。社会的に歴史的に「髪の毛を触れられてきた」という事実があってもなお、彼女は自分の髪に誇りを持っており、その美しさを自覚しているのだ。


22位 How To Dress Well - Lost Youth / Lost You



アンビエントな佇まいのインディーR&Bも、もはやアンダーグラウンドではなくなってきている昨今、そのムーブメントの中心にいた彼は、BleachersのJack Antonoffを迎え、よりエモーショナルでポップな路線に舵を切り、トム・クレルとして赤裸々に自身のアイデンティティーを表現している。


21位 Chairlift - Ch-Ching



Beyonceからも絶大な支持を受けるインディー・ポップ界の2人組は、そのビヨンセのプロデュースで備わったHIP-HOP感覚の強いビートを、変幻自在ですこぶるキャッチーなメロディーと融合させ、誰にも模倣できない個性的な世界観を確立している。


20位 Future feat. The Weeknd - Low Life


<US最高位18位>
2015年メインストリームにおいて最も成功したポップ・スターとなったザ・ウィークエンドは今でもアンダーグラウンドな時代を忘れていないし、ストリート感覚も持ち合わせていることを、この曲で改めて主張している。ドラッグ、アルコール、富、ストリッパーについて歌う典型的なHIP-HOPのテーマを取り扱いながら、あくまでもテンションは低めで、さらに憂鬱で自堕落になっていく危うい"Low Life"を絶妙なバランスで、ヒットチャートの上位へと押し上げて見せた。


19位 The Lumineers - Ophelia


<US最高位66位>
シェイクスピアの戯曲『ハムレット』登場人物の一人として知られるオフィーリアをタイトルに関したこの曲で、彼らはデビューアルバムで収めた成功による名声とどのように向き合ってきたかを歌う。しかもそうして誕生したのは、"Ho Hey"をも超える紛れもない名曲であった。水面を跳ねるかのようなピアノの旋律が印象的であるが、自然発生的に衝動的に生まれたというメロディーは、理屈を超えた本来の音楽の”喜び”を教えてくれる。


18位 Mitski - Your Best American Girl



複雑なバックグラウンドを持つ彼女の心の叫びであると同時に、異なるアイデンティティーを持つ恋愛関係にある2人の齟齬を歌った普遍的な楽曲であり、リリックの生々しさが痛いほど身に染みる。メロディーやボーカルの繊細さはJ-POP的ですらあるが、90年代のインディーロックのノイズ・ギターの響きがダイナミックで懐かしさも感じさせる。ある意味王道のロックソングかもしれない。


17位 The 1975 - The Sound


<UK最高位15位>
文学的で反逆的かつ繊細で計算高くありながらも、2016年のロックンロールは大衆迎合的でチャラくて楽しいものであっていいということを、バンド史上最強のキラーチューンで示して見せた。ここ最近のトレンドである80年代のニューウェーブ、ディスコの上質でポップな部分を抽出し、軽薄なメインストリーム・ポップに大胆にも殴り込みをかけながら、体裁はあくまでも最高のシンガロング・アンセムとなっている。リタ・ヲラとハリー・スタイルズを愛する男に悪い奴はいない。


16位 Ariana Grande - Into You


<US最高位14位、UK最高位13位>
アリアナ・グランデのダンス・ディーヴァ宣言に相応しい、完全無欠のポップ・ソングだ。2015年のドーナツ事件、Big Seanとの破局、シングル曲"Focus"の不発など、セカンドアルバムの成功に関わらず、彼女は不遇の時期も経験することになるのだが、それがアリアナ本来の魅力を再確認し、新たなスタイルを提示する大きな布石となった。2016年のメインストリームEDMとは一線を画すサウンド、彼女歴代最高レベルのボーカル・パフォーマンスを同時に味わえるなんて、さすが欲張りディーバである。


15位 NAO - Girlfriend



UKのインディーR&Bの大きな流れを引き継ぎつつも、彼女はネオソウルやファンク、ジャズなどのブラック・ミュージックの確固たるルーツを楽曲に落とし込んでいる。ハスキーでソウルフルながらもどこか軽やかな歌声が彼女の圧倒的な個性になっているが、サビにおけるバンドとのアンサンブル、何層にも重なり合う美しいハーモニーが昇天させる。恋の始まりを奏でる可憐な乙女心を歌いながらも、地に足のついた楽曲である。


14位 Bon Iver - 33 "God"



フォークな味わいが印象的だった前作とは質感が全く異なるボン・イヴェールの新作からのリード・シングル曲は鮮烈なものだった。Kanye West、Travis Scott、James Blakeなどとの共同制作を経て、このようなHIP-HOPエレクトロニカ・ミーツ・フォークのようなサウンドに変貌したのは、そこまで驚くことではないのかもしれないが、完全に別次元の世界観へと到達してしまっている。スピリチュアルで難解だが、ポップで温かい。なんとも複雑で多面的な曲である。


13位 Missy Elliott feat. Pharrell Williams - WTF (Where They From)


<US最高位22位、UK最高位66位>
時代が変わり、流行が移り変わっても、ミッシー・エリオットはそれでも変わらずミッシー・エリオットらしかった。ともにR&B・HIP-HOPの一時代を築き上げてきた盟友Pharell Williamsを迎え、時代に媚びることなく、彼女らしい先鋭的なHIP-HOPナンバーを聴かせる。クールな音楽は時代が変わっても色褪せないことを、彼女の存在自体が物語っている。


12位 Beyonce - Hold Up


<US最高位13位、UK最高位11位>
素晴らしいアルバム『レモネード』における序盤のハイライトであり、最大級の衝撃を受けた曲である。それは、バットを振り回しながら街を闊歩するミュージックビデオだけではない。Vampire WeekendのEzra Koenigがプロデュースに参加していること、Father John Mistyがソングライターとしてクレジットされてること、2000年代のインディーを代表する名曲Yeah Yeah Yeahsの"Maps"をサンプリングしていることもだ。レゲエ・フュージョン風で、かなりボーカルの力量が試されそうな複雑なメロを完ぺきなまでに「ビヨンセらしいボーカル」で乗り切って見せている。そんな大胆なチャレンジをR&Bポップスターのビヨンセはやってのけ、見事に成立させた。


11位 Nick Jonas feat. Tove Lo - Close


<US最高位14位、UK最高位25位>
たしかに、2016年はJustin BieberとZAYNの年だったかもしれない。しかし、ニック・ジョナスはセクシュアルかつダイナミックでありながら繊細さを兼ね合わせた、クワイエット・ストーム風のこの上質なポップ・ソングで、彼は作られたアイドルではなく、確固たるアイデンティティーを持った正真正銘のアーティストであることを証明した。客演で参加したトーヴ・ローも、自身に求められてる役割を完ぺきに理解し、演じている。

1 件のコメント:

  1. こんにちは
    私はニックジョナスのファンで、closeは特に好きです。
    ちなみに昨年発表したリードシングルcloseを含む「last year was complicated」は商業的に成功したといえるでしょうか。
    また、今年の新曲(remember i told you)は売れていなく、彼はもう落ち目なのかと思いましたが、どうなのでしょか。
    それだとかなりショックですが・・・・(≧◇≦)。
    いろいろ質問申し訳ないです(*_*;

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